子どものころの怖い話
ひょうせ・渦人形

この怖い話は約 8 分で読めます。

高校の頃の話。

高校2年の夏休み、俺は部活の合宿で某県の山奥にある合宿所に行く事になった。
現地はかなり良い場所で、周囲には500m~700mほど離れた場所に観光地の
ホテルやコンビニなどがあるだけで他には何も無いけれど、
なんか俺達は凄くわくわくしてはしゃいでいたのを覚えている。

その日の夜の事。
暇をもてあました俺達は、顧問の先生の許可を貰いコンビニまで買出しに行く事にした。
わいわい騒ぎながら10人ほどで外にでて歩き始めると、
昼間はそちらのほうに行かなかったので気付かなかったが、
合宿所の裏手に家らしき建物があるのが解った。
その建物には明かりがついていなかった。
多分空き家か民家っぽいけど別荘か何かなんだろうと思われた。
友人が調子の乗って「あとで探検いかね?」と言い出したが、
あまり遅くなると顧問の先生にドヤされるし、ひとまず買い出し終わってから
合宿所内で今後のことは考えようという話になった。

 

コンビニで買出しをし合宿所に戻る途中、後輩の1人が変なことを言い出した。
例の建物の玄関が少し開いていて、そこから子供がこちらを覗き込んでいたという。

俺達は「そんなベタな手にひっかからねーよ!」と後輩をおちょくったが、
後輩が真顔で「マジで見たんだって!」というので、ちょっと気味が悪くなってしまい
家が見えるところまで確認に戻ったが、ドアは閉じていて人の気配も無く特に異常は無かった。
俺達は後輩をおちょくりながら合宿所へと戻った。

合宿所へ戻り、2階の廊下から外を眺めると、例の家の1階部分が木の間から僅かに見えた。
俺が友人と「あそこに見えるのそうだよな?」なんて話をしていると、
家のドアが僅かに開き、暗くて良く解らないが子供らしい人影が頭だけをドアから出して
こちらを覗きこんでいる。

「…え?」

俺と友人は同時のその光景を目撃し沈黙した。
その後最初に口を開いたのは友人だった。

 

「おい…あれって…」

友人はかなり動揺しながらそういった。
俺も恐怖というよりあまりにも唐突の事で思考が停止してしまっていて。

「子供…こっち見てるよな?」
としか返せない。

その時、後ろの部屋から笑い声が聞こえてきた。
俺と友人はその声にびっくりし、ハッ!と我に返った。

そして、俺は「これやばくね?ばっちり見えてるよな?」というと、
友人が「おれちょっと携帯持ってきて写真撮る」と自分の部屋へと走っていった。
すると、騒ぎを聞きつけてなんだなんだと合宿所にいる生徒
(他校の生徒もいたので総勢60人くらいが合宿所にいたのだが、そのうちの半分くらい、30人ほど)
が2階の廊下に集まりだした。

子供らしき人影はまだドアから顔のみを覗かせてこちらを見上げているように見える。
廊下は大騒ぎになり、とうとう顧問の先生たちも何の騒ぎだとやってきた。
第一発見者の俺と友人が事情を話していると、
窓から外を見ている生徒の何人かが「あ!」と声をあげ、かろうじて聞き取れる音で

 

パタン…

とドアの閉じる音がした。
顧問の先生たちが外を見る頃にはドアは閉じられ人影もなくなっており、
何事も無い林と明かりもついていない家らしき建物が見えるだけだった。

当然先生たちは信じてくれなかったが、ノリの良い若い先生2人が
一応確認しに行ってくれることになり合宿所の裏手へと回った。

俺達が窓から様子を見ていると、懐中電灯を持った2人が現れ、家の玄関のところで何かやっている。
どうやらドアが開くか調べているようだがあかないようだった。
その後「誰かいますか~?」と声をかけたりしていたのだが、反応がないらしく5分ほどで戻ってきた。

その後何人かが携帯で撮影した画像も証拠として出したのだが、
所詮は携帯の画質、真っ暗な画像が映っているだけで何の証拠にもならない。
俺達は先生達に「さっさと寝ろ」とまくし立てられて自分達に割り当てられた
部屋へと戻った。

 

その夜、なんか中途半端でモヤモヤして寝れない俺達がこれから確認に
行くか、それとも昼間行くかを話し合っていると、部屋の窓が

ドンドン!

と叩かれた。
窓の外に人影も見える。
俺達はさっきのこともありビビりまくっていると、外から「おーい、あけてくれ!」
と声が聞こえてきた。

カーテンをあけると、そこには昼間仲良くなった他校の生徒5人がいた。
やつらはどうも窓の外にある20cmくらいの幅のでっぱりをつたって俺達の部屋までやってきたらしい。

5人を部屋の中にいれると、どうもやつらも俺達と同じ話をしていたらしく、
これから例の家に行く事にしたので俺達を誘いに来たらしい。
俺達もそれで決心が付いたので、これから肝試し?に行く事になった。

メンツは、うちの学校からは
俺、A也、B太

他校からは
C広、D幸、E介

他のやつは何だかんだと理由をつけて結局来なかった。

 

俺達は5人が通ってきた窓の出っ張りをつたい外にでると、
先生に見付からないように一端道路に出て、そこから大回りに問題の家へと向かった。
一応、家の周りは合宿所の2階廊下から丸見えなので、残ったやつ何人かが
異常があれば廊下から懐中電灯で合図してくれるという計画になっていた。

家の前につくと流石に不気味だった。
遠目には解らなかったのだが、壁には苔が生えているしあちこちに蔦も絡まっている、
しかも外から見える窓は全て板が打ち付けられていてだいぶ長い事放置された場所のようだ。

最初C広とA也とB太が家の周りを確認しに行ったのだが、
俺が開かない事は解っていたが何気にドアノブを回すとすんなりとドアが開いてしまった。
急いで3人を呼び戻し、俺達は中へと入る事にした。

中に入ると夏場という事もあり室内の湿気が凄くかび臭い。
家の中を探索してみると、埃っぽくカビ臭くはあるのだが、室内は荒らされた様子も無く、
家具も何も無いのでやたら広く感じた。

1階を探索していると、E介が「2階から笑い声しね?」と言い出した。
俺達は耳を澄ましてみたが、笑い声は聞こえない。
E介に気のせいじゃないか?といったのだが、E介は気になるらしく見に行きたいと言い出した。

しかし、まだ1階の探索も終っていないので、仕方なく3人ずつのグループに分けて、
片方はそのまま1階を、もう片方は2階を探索する事にした。
グループわけは簡単で、同じ学校の俺とA也とB太がそのまま1階を、
別の学校のC広とD幸とE介が2階を探索する事にして、何かあったら階段のところでおちあう事にして別れた。

 

暫らく探索していると、2階から突然

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

と場違いに明るい笑い声が聞こえてきた。

そしてすぐに「おいE介?どうした?おい!」とC広とD幸の狼狽した声が聞こえてきた。
俺達が大慌てで2階に上がると、一番奥の部屋に3人はいた。
笑い声の主はE介で、窓のほうを向いてまだ

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

と大声で笑っている。
そしてその横にC広とD幸がいて、真っ青な顔でE介を揺さぶったり頬を引っ叩いたりしていた。
俺達もただ事では無いと3人のところに行って前に回りこんでE介の顔を見たとき、
俺は今時分たちが置かれている状況の深刻さに始めて気が付いた。

E介はほんとにおかしそうに笑い声を上げているのだが、顔は無表情でしかも目からは
大粒の涙を流している、それに何か臭いとおもったらどうやら失禁しているらしい。

E介はまるで俺達の事が見えていないかのように泣きながら笑い続けている。
俺達が狼狽してE介に呼びかけていると、その場で一番冷静だったB太が

「とりあえずE介このままにしておけないし、合宿所まで運ぼう」
と言ってきた。

 

そして、俺達はE介の手足と肩をもち外へと運び出そうと1階までE介を運んだ。
が、そこで問題がおきた。
ドアを開けようとしたB太が声を震わせながら大声で

「ドア開かねーよ!」
と言ってきた。

俺達はE介を廊下に降ろし、みんなでドアを開けようとしたのだが、
さっきは簡単に開いたのに今はびくともせず、
6人の中で一番体格の良いA也がドアにタックルしてみたのだがそれでもまるで開く気配が無い。

俺達は軽くパニックになり顔を見合わせていると、2階から微かに

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」

と、まるで抑揚の無い機械的な声というか音というかが聞こえてきた。
E介はまだ床に寝転がされたまま笑っている。
とにかく外にでないといけない、そう考えた俺は、1階のリビングがガラスのサッシのみで
割れば出れそうな事を思い出し、4人にそれを伝えるとリビングへと向かう事にした。
その時、ふと俺は階段の上を見て絶句した。

階段の踊り場の少し上ところから子供の顔がのぞきこんでいる。
月明かりが逆光になっていて表情とかは何も解らないが、顔のサイズや髪型から
さっきの子供とわかった。
相変わらず

 

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」

という声も聞こえてくる、どうやら声の主はこの子供らしい。
しかし何かがおかしい、違和感がある。
俺はすぐに違和感の正体に気が付いた。

子供は階段の手すりからかなり身を乗り出しているはずなのだが、なぜか頭しか見えない。
あれだけ乗り出せば肩辺りは見えても良いはずなのだが…
俺がそんな事を考えながら階段の上を凝視していると、C広が

「おい何してんだ、早く出ようぜ、ここやべーよ!」

と俺の腕を掴んでリビングへと引っ張った。
俺には一瞬の事に見えたが、どうも残りの4人がE介をリビングへ運び込み窓ガラスを割り、
打ち付けてある板を壊すまでずっと俺は上の子供を凝視していたらしい。

俺は何がなんだか解らず、とりあえず逃げなければいけないと皆でE介を担いで外へとでた。
外へ出ても相変わらず

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」

という声は家の中から聞こえてくる。
俺達はE介を担ぎ、D幸が合宿所へ先生たちを呼びに行った。

 

その後、E介は救急車で運ばれた。
俺達は先生方に散々説教をされ、こんな事件があったので合宿はその日で中止となった。
帰宅準備をしていた昼頃、十台くらいの数の車が合宿所にやってきた。
中から20人ほどのおじさんやおじいさん、あと地元の消防団らしき人が
降りて顧問の先生たちと何か話しをすると、合宿所の裏に回り例の家の周りに
ロープのようなものを貼り柵?のようなものを作り始めた。

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