人形にまつわる話
婆ちゃん人形

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541 本当にあった怖い名無し sage New! 2008/05/04(日) 08:33:27 ID:u/Y0cnJoO
オレの婆ちゃんが死んだとき、もう20年近く前になるけど。
婆ちゃんは地方のある旧家に嫁いだのだけれど、その家かなり昔からその辺り一帯を納めていた地主で、何やら信州で有名なお寺に縁のある者が興した家らしい。

で、その婆ちゃんが亡くなって片見分けの時に婆ちゃんの遺品から一体の人形が出てきた。
その家には蔵もあれば納戸もあった。
他に仕舞う所ならばいくらでもあろうに、それは婆ちゃんの部屋、押入の奥から出てきた。
飾られた事など一度も無いのに常に側に置いておきたかったのか。
横12~3、縦30高さがやはり13センチ程の木の箱に入っていたそうだ。
中を開ければ童女姿の日本人形が黄ばんだ和紙にくるまれていたそうだ。
和紙を解くと虫食いもなく、また着物も色褪せもせず、所謂たいへん良い状態だったそう。
表書があったそうだが中味と違い箱の方はとても薄汚れていて、文字も褪せていて読めない。
箱の裏に何やら墨で文字が直に書かれている。
辛うじて人形、それから鏡一対という文字。
それから何だか読めない文字のようなもの
母親に言わせると梵字みたいなものじゃないかと。

気になったのは鏡の文字。
箱の中には鏡など入っておらず、また人形の手も手鏡を持たせるようにはなっていなかった。

と、ここまでは俺自身が見た話ではなく、四十九日が過ぎてから母親に聞いた話だ。

544 婆ちゃん人形つづき sage New! 2008/05/04(日) 09:23:51 ID:u/Y0cnJoO
その四十九日の法要は檀家となっている大きな寺で行われた。
通常四十九日は特に縁のある人のみで行われると聞いている。けれどその日は肉親をはじめ親類、生前婆ちゃんが特に世話になった人達、けっこう大勢の人が来ていたと思う。
だからその時は、皆気がつきもしなかったのじゃないか。
その女性は経を読む段になっても堂の片隅にポツリと座っていた。
いずれ誰かの知り合いだろうと皆が思っていただろう。

法要が終わり、オレは親戚の子供達の相手をしていた。
奥の部屋では大人達は近親者だけになり個人の思い出話、そして形見分けの話になっていた。

最後にあの人形の事になった。
出自のよくわからない物だが物はわるくはない。
婆ちゃんには子供が三人、女子は長女である母が一人だ。
当然成り行きとしてあの人形は母の元へとなるはずだった。

一方オレが子供達を遊ばせている部屋。
広い座敷で子供と相撲などを取っていると、視界の端を何かがよぎる。
影を追えば、あの部屋の片隅に座っていた女の人が母達のいる奥の部屋に向かうところだった。
何か薄い箱のようなものを風呂敷に包んで抱えているのがわかった。

その時の様子を後に母から聞いた。

その人は襖の向こうから挨拶をすると部屋に入ってきた。
この時になって皆が顔を見合わせて、その様子や顔付きから誰もこの女性に心当たりが無いことが想像された。

女性はと言えば小綺麗に身を纏めていて、卑しくはないそれなりな暮らしをしている事が見て取れた。
年の頃は六十代の半ばか。
伯父が改めて身元を尋ねれば、あろうことかその女性、母達の四人目の兄弟、いや年齢で言えば長女になる人だった。

その時の母は、女性の脇に置かれた紫色の風呂敷の包みの、その紫が妙に不吉に思われたそうだ。

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