子どものころの怖い話
憑き護(後編)

この怖い話は約 6 分で読めます。

なぜ死んだ日を明確に覚えているかというと、その次の日(7/23)に水泳の授業があって、Bさん、Cさん、俺と、A先生の足を見た友人が揃いも揃って、プールからあがるとあのA先生についてた歯型がついていた。
足を引っ張られたとか、溝が出てきたとかはなかった。
みんな気味悪がって俺らを避けてくれた。
余談だが、そのせいでその日楽しみにしてた給食のチーズハンバーグが俺と友人だけなかったのは忘れんぞ!

俺ら自身も気味悪くて、皆で相談して担任に相談しにいった。
担任は俺らの話を聞くなり、すぐに車を出してどっかの寺に連れてかれた。

「どこ行くの?」

とか聞いても

「後で話す」

の一点張りだった。
寺に着くと、急いで本堂のような場所に連れてかれた。
一休さんに出てくるような住職みたいな人に

「こいつらかぁ!こいつらかぁ!」

と言われて、TVでよく見る渇を入れる棒みたいなので、俺と友達が肩を叩かれた。
俺はワケもわからずとりあえず怯えてた。
BさんとCさんの方は住職が一瞥して

「魅入られたか・・・」

とボソリと呟いた。

その後、俺と友人、BさんCさん、と分けられ別々にお経を唱えられた。
お経の種類が違ったのかもしれない。
お経が終わったあと住職の爺さんに

「人の噂は人の恨みになる。好奇心で近付くな。喋るな」

と教えられた。
妙に心に染みた。
Bさんは残って俺と友人とCさんだけが担任の車に乗って学校に戻された。
そのあと職員室の奥にある応接室の方に連れてかれて担任から事情を聞いた。(小五の頃だから詳しいことは聞けなかったけど)

「ここからは先生の独り言だから、ただの戯言だ。でも口外はするな」

という前置きだった。
子供の俺でもちょっとした緊迫感が伝わってちょっと怖かった。

『憑き護』って知ってる人いるかな?
読み方はツキゴ。
担任曰く、A先生はその憑き護だったらしい。
憑き護っていうのは簡単に言うと生きた守護霊みたいなものらしい。
普通に生きてて、人を護ったりするけど、かと言って霊でもないらしい。
土地守とかに近い存在らしくて、要するに不幸を被る避雷針みたいな人なんだそうだ。
どこかの家計にそういうのが強く現れるのがあるらしく、鬼門、霊道、etc
とにかく霊的なモノで、普通の人には手がつけられないような場所にそれとなく住ませるそうだ。
京都の方や奈良とかに憑き護は多く住まされてるとも聞いた。

担任の話に戻る。
理由は不明だが、プールでの怪異は大昔からあって、足を捕まれたりとかは本当にあるらしい。
それで溺れて大変な事件になったとかも結構頻繁にあったらしい。
困った学校側がA先生が憑き護だったのを調べて学校に採用したそうだ。
そして問題の日、A先生はたぶん憑き護として俺たち生徒の避雷針代わりに『プールの何か』に捕まれたみたいだ。
その後は、実際には病院に搬送されたのではなく、俺たちにお経を唱えてくれた住職のとこに行ったそうだ。
その『プールの何か』がよっぽど強かったのか、A先生が耐え切れなかったのかはわからないがとにかくA先生はソレに負けたらしい。
学校としては憑き護によって怪異から解放されると思ったようだが、逆に憑き護がダメになってしまったとのことだ。
はっきり覚えてないが話を聞いた時、俺と友達、Cさんは泣いたと思う。
A先生の足についた歯型を見た後の学校で起きた悪戯は多分、憑き護のA先生が護りきれなくなり、今までおとなしくしてた何かが暴れたせいだと子供ながらに解釈していた。
今でもそう思う。
最初のうちは

「A先生はヒーローみたいな存在で俺たちを護ってくれてたんだよ」

とか誰かに話そうと思ったが、俺は今まで守ってくれてた人をおかしな人呼ばわりしたり、悪戯の犯人に仕立てあげてたのだ。
そう思うと心が痛くなった。
誰かに話す気はすぐに失せた。
罪悪感が強く残った。
忘れもしない。
担任もそれを俺たちにわかって欲しくて、多分この話をしたんだと思う。
学校ではA先生を採る前などは、プール開きの日にお祓い。
何か変なことがあると夜にお祓い、など一時しのぎを繰り返してたそうだ。

翌日、Bさんは行方不明になった。
正確には家族ごといなくなったそうだ。
夜逃げかな?

「魅入られたか・・・」

と言った住職爺さんの言葉はBさんに向けての言葉だったのかもしれない。
その後俺たちの中でこの話をしなくなったし、クラスでA先生の話が出ても無視することを徹底した。
今でもこの学校はあるし、俺が卒業するまでに溺れた人が結構いたから、多分プールの怪異もまだ続いてると思う。

以上です。
『憑き護』についてですが、説明不足だったようです。
話自体が長くなってしまったので省いたせいです。
すまん。
俺も物心ついてからそういったモノに興味を持っていたので、色々気になって調べようと思ったのですが、ググったり図書館で文献など探しても出てきませんでした。
二年ほど前に小学校の同窓会があり、当時の担任も出席していたので、話しにくかった事ですがもう月日が経ってたので憑き護について聞きました。
ただ、担任も人にちょこっと聞いただけなので詳しくわからないそうです。

『憑き護』
現代の通称で忌み言らしく、表に出て来ない言葉だそうです。
今の時代では憑き護本人が、憑き護だという事実は知らないそうです。
人によっては親から子に継がれて知ってる人もいるのかもですが。
大昔には憑き護は別の名称で呼ばれており、(その名称を話すと地域が限定されてしまうので伏せます)厄災や飢饉などが起きた時に生贄として扱われていたそうです。
憑き護といってもピンからキリまであるらしく、避雷針として効果の強い人はそのまま何もないように生活していくそうです。
ただ、詳しくは不明ですがお寺だか国の何かだかに憑き護の家計は記録されてるらしく、霊の発祥が強い場所に何らかの理由を与えてその近くに引っ越させたりしているらしいです。
あと、一定期間に強く念が発生する場所には会社の出張とかで合わせて期間の間だけその場に居させて念を鎮めさせるとかも聞きました。(会社で意味のない出張をさせられた経験のある人は実は憑き護かも)
効果の弱い人の場合、家計の古い人が自分は憑き護の家計だと知っている時には、避雷針の立場になる前にお寺などに連れて行き、表向きには心の修行ということで滝打ちや禅などを行わせて、実際にはお寺にいる間に避雷針として強くするそうです。
効果が弱くて、家計についても知らない人は、残念ながらA先生のようなパターンになったりすることが多いそうです。
勿論普通に生活できたりもするようです。

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