後味の悪い話
貧乏な姉妹

この怖い話は約 4 分で読めます。

童話っぽい世界観の話

親をなくした貧乏な姉妹がいた。
姉は幼い妹を養うために、てっとり早い手段として売春をしていた。
抱かれながら、相手の男に器量の悪さをなじられる屈辱にも、妹のために耐えた。
文字通り身を売った甲斐もあって、妹はすくすくと育っていった。
妹が物心つくころには、姉は器量の悪さを若さでカバーできる年ではなくなっていたので、
売春はできなくなったが、いつも汗水垂らして必死に働いていた。
姉が売春していたことなどを知らない妹は、なんの陰りもない美しい娘になり、
そんな妹を見るたび、よくここまで育ってくれたと姉は満足した。

姉妹の暮らす村に、国の王子とその従者たちがやってきた。
年頃の王子の結婚相手を選定するためといって、彼らは村の女性たちに植物の種を配った。
その種から花を咲かすことのできた奇跡の女を王子の妃にするのだという。
花を咲かせるだけで王子の妃になれるなんてと女たちは興奮し、それは姉も例外ではなかった。
種の世話をしながら想像する妃としての日々は甘美で、その想像と比べるうちに現状の不幸さを認識していった。
貧乏でさえなければ、妹さえいなければもっと幸せに暮らせていたのではと思えてきた。

器量が悪くて年増の姉は、必死に種の世話をしていることを知られたら嘲笑されると恐れ、夜中にいつも種の面倒を見ていた。
しかし、種は花を咲かせるどころか芽をつける様子ない。村の他の女たちも同様だった。
ある夜に、姉は種の植えられた鉢植えを手に持ちながら、焦燥感を感じていた。
そこに、同じく鉢植えを持った妹がやってきた。妹も実はこっそりと種を育てていたのだった。
しかし、妹の鉢植えには見たこともない美しい花が咲いていた。

41 : 本当にあった怖い名無し : 2009/07/04(土) 16:35:46 ID:sfVyInjK0
姉に問い詰められ妹が語るには、実はこの妃の選定は出来レースだったのだという。
王子は身分を隠して国を見回ることが度々あり、その時に出会った美しく優しい妹と恋に落ちた。
身分違いの妹との結婚の許しを得るため、奇跡の存在をでっちあげるために種は配られたのだった。
花は他国の珍しいもので、他国の土でしか育たない。妹は事前に王子にその土を渡されていた。
王子は姉のことも聞かされて知っており、妹との結婚の末には姉の生活の保障もしてくれるという。
妹は王子のことを身分では見ておらず、ただ純粋に男性として愛していたが、
王子と結婚することで、今まで苦労をさせてしまった姉を幸せにできることを有難がっていた。
貧しさから脱却することだけを考えて王子との結婚を夢見ていた姉は、
無邪気に笑う妹の姿に自分の醜さを突きつけられたように思え、鉢植えで妹を殴り殺した。

妹の死体は川に捨てた。姉は花をつけた鉢植えを王子にさしだし、妃の座を得ようとした。
王子は不審がりながらも、おふれをクリアされた以上は仕方がないとそれを受け入れようとした。
しかし、川の中から女の声がするという知らせが王子の耳に入る。
王子が行くと、川には肉が腐り落ちて骨だけになった死体があった。
姿からは誰ともわからないその死体は何故か歌い続けており、その声は王子が愛した妹のものだった。
骨の頭部にはひどい傷があり、王子は事態の真相に気づいた。

姉は皆の前で首つり刑に処されることとなった。
「あなたの話はよく聞いていました 心優しい人だと彼女は言っていました」
王子は悲しげに言うが、処刑を命じたのは彼自身だった。
姉は無表情で大人しく首を吊り死んだ。

43 : 本当にあった怖い名無し : 2009/07/04(土) 16:39:20 ID:lrllM9Qd0
>>40
すげぇ正統派の後味悪さ…。

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